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ナイターで照らされた甲子園の銀傘=2023年10月20日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場、林敏行撮影
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 阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)は、1日に開場100周年を迎えた。7日からは第106回全国高校野球選手権大会が開幕する。

 甲子園球場の特徴の一つとして外せないのが「銀傘(ぎんさん)」だ。

 内野席の一部を覆う屋根で、今はアルプス席を除く内野席を覆っている。

 銀傘が注目されたのは開場100周年を翌年に控えた2023年7月。野球場を所有する阪神電鉄(大阪市)が暑さ対策の一環として、一、三塁側のアルプス席まで拡張する構想を発表したからだ。

 同社の役員は当時、「再び銀傘でアルプス席までを覆い、平和の象徴として本来の姿に完全復活させる」などと語った。

 コメントの裏には、悲しい歴史がある。

 甲子園開場時には内野席を覆う「大鉄傘(だいてっさん)」と呼ばれた鉄製の屋根があった。その後増築されたアルプス席を覆う形で1931年に拡張された。

 しかし、太平洋戦争のさなかの43年、金属供出のためすべて取り外された。夏の甲子園大会の開催も中止を余儀なくされた。

 復活したのは8年後の51年。内野席を覆う形で復活した。2007年からのリニューアル工事で、面積が1・4倍に広がって内野席のほぼ全体を覆った。

 今後、アルプス席まで広げる理由として、阪神電鉄は「アルプス席を覆うことで学校応援団の観戦環境を改善し、高校野球の聖地としてその文化の継承を図っていきたい」としている。

 時代とともに形は変わっても、甲子園の象徴であり続けていく。(八鍬耕造)

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